横浜家庭裁判所 昭和34年(家)2402号 審判 1959年6月24日
国籍 米国ワシントン州 住所 横浜市
申立人 セルバー・オー・ピーターソン(仮名)
本籍 山梨県 住所 右申立人に同じ
申立人 渡辺志津江(仮名)
国籍 フイリピン共和国 住所 申立人等に同じ
事件本人 アリン・カースイ・ピーターソン(仮名)
主文
申立人等が事件本人を養子とすることを許可する。
理由
申立人等は、主文同旨の審判を求め、事件の実情とするところは、要するに申立人等において未成年者である事件本人を養子としたいので、その許可を求めるため本申立におよんだというにある。
本件養子縁組の要件については、法例第一九条により養親となるべき申立人等については、米国法に、また養子となるべき未成年者である事件本人については、フイリツピン法にそれぞれによるべきところ、米国々際私法の原則によると、養子となるべき者または養親となるべき者の住所のある法廷地の法律に、またフイリツピン国々際私法の原則によると、養親となるべき者と養子となるべきものがともに外国に在住するときは、その在住地の法律に(この点は、フイリツピン国領事の証明書により窺い知ることができる)それぞれよることになつているので法例第二九条にいわゆる反致の法則に従い、結局日本の法律によるべきものといわなくてはならない。
そこで本件申立の許否について考察する。申立人ら提出の書面および当裁判所の事実調査の結果によると、申立人等は、至極円満な夫婦で、隣人から敬愛されているものであること、申立人ら間には実子なく、将来も出産の見込がないこと、申立人セルバー・オー・ピーターソンは、米国陸軍々属で、月収約四五二ドル得ており、資産約二〇、〇〇〇ドルを有すること、事件本人は申立人セルバー・オー・ピーターソンの実兄の子であり、事件本人の両親も事件本人が申立人らの養子なることに同意しておることがそれぞれ認められる。以上の諸事情に徴すると、本件縁組により、事件本人の福祉を増進することができるものと思われるので、本件申立を許可するのが相当である。
(家事審判官 猪股薫)